現在までに下記のような引火事故が報告されています。
【2005/6/15 気管チューブへの引火事故】
犬の声帯切除術中に、レーザーファイバー先端が気管チューブへ接触し、引火。
咽頭部および気管上部に熱傷を負わせる。
高濃度酸素の環境下で麻酔ガス(イソフルレン)と気管チューブが激しく燃焼したものと思われます。
患畜は痛みを訴えるもその後回復。
先端部が焦げた気管チューブ
【2005(月日不明) ハムスター頚背部への引火事故】
ハムスターの頸部腫瘍をICG凝固術中に、麻酔ガスへ引火。
術野とガス吐出部が近かったため、体毛、或いは炭化層で発生した火花が引火したものと思われます。
患畜は頭部の被毛を焦がし、角膜に損傷受ける。
術前の様子(引火事故前)
【2007/11(日不明) 吸引マスクへの引火事故】
子犬の狼爪切除術中に有窓布の下へ溜まった麻酔ガスへ引火。
麻酔ガスの吸引マスクにも燃え広がり、患畜の顔面熱傷を負わせる。
顔面熱傷の状況
レーザー使用時の引火事故を防止するため、次の点に注意してください。
- レーザー使用時には麻酔ガスを停止し、滞留しているガスを団扇や扇風機などで通風させて拡散させる。
- 麻酔は筋肉注射(ケタミン等)で代用する。
- 気管チューブなど燃えやすいものは濡らしたガーゼなどで保護する。
- マスクと頭部の隙間からガスが漏れるのを防ぐため、よくフィッティングさせる。
手術用手袋を応用したマスクのフィッティング